今年もまた、バラの季節がやってきました。色も形も多彩な花を見せ、その香りも魅惑的とあって、人気、知名度共にナンバーワンの植物と言っても過言ではありません。剪定の仕方、注意すべき病害、そして、肥料の扱いなど、植え方育て方に関する情報の多さは、ファンが多いバラならでは。でも今回は、一味違った切り口で、田中敏夫さんが歩んだバラの道に咲いた、人とバラにまつわる物語に耳を傾けてみませんか?バラの奥妙を発見する、素敵な寄り道になりそうです。 |
► 田中 敏夫(たなか としお) グリーンショップ音の葉 ローズアドバイザー 重工業系企業を退職後、バラの販売業を始める。2009年から、園芸店に非常勤スタッフとして勤務、販売と管理にあたる。ビジネスの現場で培ってきた知識と経験は、一味違うバラの品揃えと共に、店を訪れるお客様に喜ばれている。バラの文化や歴史に、さまざまな角度からフォーカスするブログ「バラ咲く庭の物語」を更新中。JGN創立メンバー。 |
園芸ショップの販売、バラの仕入れ管理を担当する現在。田中さんが今気になるのは、ガリカ。そして、バラを作りだしてきた育種家にも魅かれています。
JGN事務局スタッフ(以下JGNで表記):
じっくりと時間をかけて読みたくなりますね。
田中:
バラ愛好家も含めて、世界の育種家を調べてみたいという気持ちもあります。
JGN:
現代の著名な育種家は、よくお名前をみかけますが。
田中:
古くは1800年代の育種家についても書きました。現在26人くらい調べたんですが、作出したバラと絡み合うようなそれぞれの物語があって、興味深いです。
JGN:
既にブログに執筆した人で、どなたかご紹介いただけますか?
田中:
よく知られた人ですが、皇帝ナポレオンの皇妃、ジョゼフィーヌ。育種家ではありませんが、バラの収集家として名を残しています。彼女の依頼で収集されたバラコレクションが交配親として新品種を生み出すことになったのですから、その意味では彼女の功績は大きかったと思います。とかく、社交界での艶っぽい噂話が先行する人ではあったようですが。でも、このコレクションは普仏戦争時の攻撃で、失われてしまうのです。
JGN:
バラにまつわる物語というのは切ないものが多い気がします。
田中:
ハッピーエンドといかない話は、いくつかありますね。戦争とバラの関連を追ってみた時に、そう感じました。
JGN:
印象に残ったエピソードはありますか?