今年2月に始まったTOKYO PARK GARDEN AWARD こちらは私が設計するモデルガーデン。ようやく、明治神宮の森を背景にベッド(花壇)のプランと基本の土壌改良を終え、その形が徐々に出来上がってきました。既存のベンチとパーゴラを中心に、雲をイメージした「Cloud」という名前のガーデンです。 私の考えでは、ガーデンは人の住む家などに付随するものであって、公園にある花壇をガーデンとは呼ばないように思っていたのですが、それこそが TOKYO PARK 東京都の公園における PARK GARDEN であり、あえて PARK GARDEN 「公園の庭」と名づけたことで新しい庭の確立になるかと。 「パークは私たちの庭」。都心には集合住宅に住む人も多いので、ここを「自分達の庭のように思っていただけたら」との思いもこめてあえて、TOKYO PARK GARDEN AWARDなのです。 で、アワードというからには、コンテスト。写真はコンテスト会場の「庭」の造成中です。モデルガーデンとは別に同時進行で、 GARDEN AWARD 。 今までに多くの時間を費やしたものの、それについて語る間もなかったのですが、それがこの怒涛の数ヶ月でした。この看板にあるスケッチは正木悟さん。 コンテストの最終審査会は先月開催でしたが、苦渋の決断を迫られたのは、応募総数52作のそれぞれがとてもハイレベルだったことです。大半の作品が確実に合格するレベルで、「これも良い。こっちも良い。捨てがたい」とても素晴らしいのに、五人の審査員は皆苦悩し、最終的に5作に絞るのは断腸の思い。 それぞれの応募作品がそれぞれにユニークで完成度が高く、 1.自然な雰囲気(Natural appearance) 2.手入れが楽(Maintenance-friendly) 3.生物多様性(Biodiversity) 4.耐久性と長寿(Durability & Longevity) を満たしていて、もう少し詳しく説明するなら、植物に詳しいというだけでなくエコロジストの視点や知恵も必要だった。 どんなに植物に詳しくても、化学肥料を使わないは当然のことながら、今までのように、微妙にコツの要る水やりや薬の散布が必要な植物は使わない。植物の春夏秋冬のふるまいを理解して選んでいるか。生物多様性もひとことでは実は説明の難しいかなり多様な視野や価値観が必要になるのかと思います。それでも、バイオエコロジーを理解した応募が多かったことは現在のガーデニングへの意識の新たな高まりを感じました。25年前のガーデニング・ブームの時とは違うというか。 また、ガーデンデザインの点では、代々木という場所に求められる格調というか。別格感を求めました。軽率な言葉に受け取られたらいけないのではありますが、洗練されておしゃれな感じ。今を感じるようなというか。 ………なにかを語るほどに墓穴を掘るようで恐ろしいけれども、 それでいて、多くの人たちが楽しめる、宿根草による景色。季節の景色の世界を作る。これを自分で書いておいて、恐ろしいことに、これを自分も実践しようとしているのだから。それにて、緊張度高く、顔が黒くすみしがちな毎日ではあります。…..はぁー。と、ため息が出てしまいますが、頑張るしかない。 現在、労災保険加入やヘルメットの着用義務など、通常の工事現場と同じ条件の植栽工事なので、造園を本業とするスタッフのみの立ち入りしか許されておらず、3月下旬か4月以降、春が来たら庭の管理法や植物のことを知る勉強会を兼ねたメンテナンスのボランティア募集をしたいと考えています。それもアワードの一環として、広く募集するのが最初の計画でもあります。 手元に持っている赤いチョーク。青も使いますが、基本線の修正に、私は赤を使います。植栽工事ではこれが欠かせないのだけれども、現場施工の指示ポイント入れは、スプレーのほうが便利でしょうか。けれどもなんだかこちらのほうが環境にやさしいかなと。ラインは昔から石灰を使うので、これも良き伝統といえるでしょうか。 12月中旬までこれが続きますが、気温が下がってきました。みなさまもご自愛のほど。 (吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~より抜粋) |
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