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「東京都立松沢病院のランドスケープと長期的な取り組み」が2022年CLA賞最優秀賞を受賞しました!
株式会社 愛植物設計事務所

「東京都立松沢病院のランドスケープと長期的な取り組み」が2022年CLA賞最優秀賞を受賞しました! 株式会社 愛植物設計事務所
東京都立松沢病院のランドスケープと長期的な取り組み

株式会社愛植物設計事務所
山野秀規・山本紀久・橋本恵・浦澤柚花・倉田香織・鈴木美枝子
株式会社メディカルマネジメント松沢
清水律子・有馬武郎
東京パワーテクノロジー株式会社
池田真悟・小林将史

 松沢病院の歴史は古く、明治 12 年(1879)設立の東京府癲狂院(テンキョウイン)から始まり、現存する公立病院としては日本最古の精神科病院です。2007 年に東京都の PFI 事業がスタートし、約5年をかけて老朽化した建物の解体と集約・新設が進められ、それと並行して広大な既存緑地の再編を行いました。

 緑地の再編では、既存の緑地・土地利用の特性と新たな土地利用特性を重ねて「街」「里」「山」の3つのランドスケープゾーンとコンセプトを設定し、これに沿った自然環境・景観を形成することとしました。長い歴史を持つ病院敷地内には、高木だけでも約 3400本もの樹木がありましたが、再編は既存樹木や緑地を可能な限り保存しながら行い、建物が集約された後に生まれる空地には、新たな緑地・樹群の創出や既存樹林を改善・補完する植栽を行いました。

 一方、本事業の特性として、整備後も運営管理を約15年に渡って行う長期事業であることが挙げられます。そこで「長期事業であることを活かし、再編した緑の“質”の向上を図ること」を、もう一つのコンセプトとして事業に取り組むこととしました。

 長期的な取り組みの基礎データとするため、整備前から実施している「景観モニタリング」や「保全対象種のモニタリング」、「コドラート調査」などの基礎調査を継続し、整備後の景観・自然環境の把握と評価を続けています。

 この各種基礎調査をもとに、緑の機能や景観、自然環境など様々な面で質の高い緑を実現するため、現地での「協働巡回」を定期的に実施して管理内容の調整・最適化を図り、順応的な植栽管理を実現しています。また、保全・創出した樹林・樹木の更新や経年変化に合わせ
た改善計画、将来を想定した景観木の補植など、長期的に関わることでしか実現できない様々な取り組みを続けています。

 運営管理の開始から 10 年が経過しましたが、計画段階から続く運営管理者・設計者・管理作業者の協働体制が、これら長期的な取り組みを支えた原動力であったと考えます。

 今後も協働体制で取り組みを積み重ね、歴史ある松沢病院の緑を良質な状態で次代へ引継ぎたいと思います。

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