![]() 大内広明さん(温室にて) |
花のイベント会場で大内園芸の大内広明さんに何度か会い、いつかナーセリーを訪れたいと思っていたが、念願かなって茨城県常陸太田市の郊外、水田が広がる地域に温室が立ち並ぶ圃場を取材に訪れることができた。温室内には、シクラメンやクレマチス、カーネーション苗の他、多種多様な多肉植物が栽培されていて、興味をそそられた。
大内園芸は、シクラメンの元祖とも言われるナーセリーだ。大内さんの父親が1979年にシクラメン栽培を始めた頃は花色が赤か白しかなかったが、交配によりピンク色などパステル系の花を生み出し、当時は種子販売でも国内シェア80~90%を占めるなど、シクラメンを全国に広めるのに大きく貢献した。
大内さんが植物に強い興味を持ち家業を継ぐ決心をしたきっかけは、農学部の学生時代、フラワーアレンジメントの資格を取得して花屋でアルバイトをした時の経験だった。それまで、なぜ花が売れるのかわからなかったが、配達先の年配の婦人が、配達に訪れた大内さんを見て最初は怪訝な顔をするが、花を見て喜ぶ姿に接し、花には人の気持ちを伝える力があり、お金以上の価値があると感じたのだ。
大学卒業後、ドイツの生産農家で研修し、経営規模が大きいことと植物をこじんまり育てる日本とは異なり・・・