登場いただくお二人からのコメントでキャラクターやポリシーを知り、その関係から生まれるエネルギーを未来へのヒントにしていこうという連載です。専門分野が違う方、一緒に仕事をしてきた相手、先輩後輩、見解を異にする間柄など、植物や庭を介する「人」の多様なつながりにご注目!
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“造園家の花知らず・園芸家の樹知らず”と自嘲して言われるのを耳にする。これに当てはまらない稀有な存在が、山本紀久さんだ。幼少時に疎開した北海道の大自然。昆虫や植物との触れ合いが原体験となり、大学は造園学科へ進む。樹木学を学び、卒業後は老舗企業の造園部に入社。その後様々なプロジェクトに関わり、職人の熟練技も体験した。1973年に独立。社名は「愛植物設計事務所」と思いそのものだった。
各所で“専門”がある。データや知識は必須だが、ジャンルを横断するしなやかな専門性は、私たちが渇望する、花と緑豊かな生活を生み出す造園植栽に求められているのではないだろうか。 (JGN事務局)
► 1「完璧な植物はない。バラにはトゲがありツバキには虫がつく。」
► 2「施工が終わった時点から植栽管理はスタートし、植栽がその土地に馴染んでいく過程の管理で目標とする景観を目指していく。だから庭づくりに完成はない。」
► 3「冬の期間を通して見せる宿根草花壇は冬景色の完成度によって差がつく。一昨年の3月、塚本こなみさんによって、はままつフラワーパークがどう変わったかを見に行った折に見たボーダーガーデンは、センスの良さと完成度の高さが傑出していた。それは
① 植物の生理と生態を基盤とした植物選び
② 地形、樹木、草本の一体感の演出
③ 植物の遠・中・近・至近景の魅力を意識
④ 植物季節の図と地の移りかわりの認識
という造園家として満たさなくてはいけないことをサラッとこなしているところ。誰の作品か?吉谷桂子さんだった。それにしても僕がいつか使いたいと思っていたキキョウランが巧みに使われていたのには脱帽。本来園芸と造園は切り離せないもの。造園家吉谷桂子を見た。ほかの作品も見てみよう。」
►JGN創立メンバー 山本 紀久氏 会員情報マイページはこちら
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植物を美しく見せ、人々に感動を与える庭づくりにかけて、卓越した手腕をもつ吉谷桂子さん。大学では美術を専攻。工業デザイナー、広告美術ディレクターを経て、1992年に渡英。植物を絵になるように植えて育てることに目覚め、多くのガーデンを巡る。帰国後は、7年間の英国滞在経験を生かしたガーデンライフを提案、関わってきた仕事は多岐にわたる。英国を毎年訪れ、日英双方で経験値を積みながらデザインに生かしている。
英国のチャールズ皇太子は庭を「生きた植物を使って描く絵画である」と表現したそうだ。花の背景になる「額縁」も含め、様々な角度から全体を見られる視点を忘れずにいたい。 (JGN事務局)
► 1「土が育てば、土が花を育ててくれる。まずは、花より土に予算をかけよう。」
► 2「英国で教わった格言『ガーデニングとは、暮らしにおける美学の表現』に支えられてきた。60歳を過ぎて栽培経験値と同時にもっともっと美意識を高めたい。終わりなき目出たさよ。」
► 3「山本紀久さんのコメントに感謝。お会いできたら、もっと踏み込んで伺いたい。まさに、はままつフラワーパークで手がけたガーデンの見どころは、150mのドリフト植えダブルボーダー。谷のような地形で水がたまりやすい土を有機物の投入で改良することから始めました。ランドスケープの全体を考えながら、打ち上げ花火のように折々に異なる植物が見頃を迎え、草丈によっても住み分けて長く楽しめるようにデザイン。塚本こなみ理事長が掲げる「感動分岐点を超える」ため、視覚や嗅覚を感受する顔の高さに花があるように意識しました。花色もノイズの生じないグラデーションカラーで、植栽がメロディーを奏でるように。最後は、実際の経験値に裏打ちされた直感的なアイデアで年毎の変化をお楽しみに。」
►JGN創立メンバー 吉谷 桂子氏 会員情報マイページはこちら
吉谷桂子さんが手掛けた、はままつフラワーパークのダブルボーダー。次々と見ごろの植物が入れ替わり、長く楽しめる。まるで、植栽がメロディーを奏でるよう。
►JGN創立メンバー はままつフラワーパーク(塚本 こなみ氏) 会員情報マイページはこちら
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